日本画を学び始めた中で截金の世界を知った。
日本画に活かすことを考えた
仏画の模写でもなく 蓮やありきたりの線ではなく。
すると出会った北魏の仏
仏を描きたいと初めて思った。
昔から弥勒菩薩は心の底から好きだった
描く対象とは微塵も思わなかった
描いていいと知った時 截金との融合の道が開けた気がした。
けれども順調にはいかず模索ばかり
仏像の画力 表現の分離
そんな中でも仏教を学び 数多の仏像と遭遇した。
数年後 ようやく弥勒菩薩を絵にした
幸せの絵を描いたと思った。
その後 截金修行の道へと入る
截金三昧の日々は多彩な発見があり充実していた
工芸会への出品を課せられ 工芸の道へ足を踏み入れようとした。
立体の概念、土台の設計は困難であった。
そして囚われる伝統文様と工房作風
師を失って工房から離れたとしてもその呪縛は続いた。
もっと深く続いているものの中に蝶があった
学生の頃からその姿形、死を司る存在として
ずっと愛しい対象であった。
ここから 好きなものを截金で、が始まる
文様と写実との間で私の蝶を探す
すると 私の手から自由な曲線が生まれてきた
初めてのものではない 10代の頃 好んで描いていた氣の表現だ。
それを氣だと気付いたのは 霊木化現を知ったからである。
目に見えるものではないが、発せられるものとして
次々と手が動いた
蝶として舞い、植物にも絡みだし
そして仏の周りを飾りはじめる
私の荘厳である。
截金は本来仏を飾る荘厳であった
その道を外れてはいけないという 固定観念があった。
高貴な技であるが故に何にでも施すものではないと教えられた。
けれども截金が生き残るためには工芸にも広げなければならなかった
その葛藤から 仏を描くことで救われたかもしれない
こうしなければならない、という枠の中ではなく
昔からの私を形成してきたものが積み重なり、再び現れ、
ひとつになって表現へと導かれた。
手が望んで描く線を 大切な技法截金と共に。
2004年 京都造形芸術大学 美術工芸学科日本画コース卒業
2005年 京都迎賓館 内部装飾に参加
2006年 京都造形芸術大学大学院 芸術研究科芸術表現専攻修士課程修了
重要無形文化財截金保持者江里佐代子に師事
2007年 日本伝統工芸近畿展入選
2008年 嵯峨美術大学高野山大学共同曼荼羅制作截金指導
2010年 国史跡『上淀廃寺跡』の金堂壁画復元制作に参加
京都造形芸術大学模写学科截金指導(5年間)
2011年 個展 画廊後素堂/京都
2012年 滋賀県安養寺 阿弥陀如来像復元制作
2013年 大阪工芸展入選
2014年~16年 法林寺(浜松市)天井画制作
2015年 日本新工芸展入選
2016年~ 嵯峨美術大学非常勤講師
2018年 截金二人展 山木美術/大阪
2019年 重要文化財長福寺本堂 復元参加
2024年 個展『氣が導く光』ギャラリー恵風/京都
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